家を建てるなら知っておきたい、柱の種類の話。
柱には、無垢材(写真左)と集成材(写真右)があります。
無垢材とは、合板や集成材(後述)ではなく、使用する形状で
丸太から切り出した木材のことです。
無垢には芯持ち材と芯去り材とがあり、中心をとったものと、
中心を避けたものがあります。
割れやひびなどが入りやすいのですが、天然木本来の風合いを持ち、
室内の湿度を調整する働きもあります。
剤を用いてないこともメリットの1つです。
写真の柱に割れが生じているのは、柱のひびが四方八方に広がるのを防ぐために
古くから施されてきた「背割り」という技法で、
無垢材ならではの処置です。
一方、集成材とは、厚さ25~50mmの木材の板を層状に
接着してブロック材にしたものです。
任意の大きさにすることが可能で、アーチなど湾曲した形状にもできます。
節・割れなどがなく、乾燥済みのため、白アリにも強く、狂いも少ないのがメリットです。
○無垢材を使う際のポイント
無垢材は、天然素材ゆえに、完全に乾かすのが難しいといわれます。
完全に乾いていないと、強度の面でも集成材に劣りますし、
白アリに対する心配も出てきます。
しかし、特別な方法で完全に乾燥させた無垢材は、集成材よりも強く、
接着剤を用いていないので健康面でも安心できます。
見せるための柱や梁にしたい、天然素材を使いたい、など、
無垢材を構造(柱)に用いるのであれば、質にも十分にこだわりたいですね。
○集成材が普及した理由とは?
集成材の長所は、バラつきの少ない安定した強さと品質を保証できるところです。
無垢材は変形して柱が歪んでしまい、ビニルクロスに裂け目できてしまうことがあります。
それを防ぐために、内壁全体に胴縁(どうぶち)を施工する必要があります。
昔は柱も歪むのは当たり前でしたが、軽量鉄骨住宅の普及で、それが許されなくなってきたのです。
集成材は歪みが相殺されるように張り合わされており、また、強度低下となる欠点部分を取り除いています。
欠点は接着剤を用いているところですが、最近は接着剤でもより安全なイソシアネート系の接着剤が普及してきています。
接着剤の耐久性について問題視する意見もありますが、集成材が普及して20年、
集成材の柱がバラバラになって家が倒れた、などという話は全く聞きません。
無垢にも集成材にもピンからキリまで様々なものがあるので、
一概にどちらがよいとは比較できない部分もありますが、
集成材は近年の建物の洋風化、大型化に従って、
(実は皇居でも)様々なところで用いられているのです。
○まとめ
例えば、一般的な建売のローコストビルダーでは、無垢の柱を用いていることがあります。
建売の家では、扉の立て付けのトラブルが起こりやすいようです。
原因は、乾燥が不十分な質の悪い無垢の柱によるものかもしれません。
集成材を梁などに用いると、見た目で無垢に劣ります。接着剤の影響も気になります。
無垢材も、集成材も、よく乾燥させた質の良いものを適材適所で用いることで、
それぞれのよさがひきだされるのではないでしょうか。